介護の現場では、食事や着替え、入浴などの日常生活のサポートから、排泄の介助、車椅子への移乗、褥瘡の予防など、利用者の身体に直接触れて支援を行う場面が数多くあります。これらの身体介護を行うためには、介護福祉士や実務者研修修了者など、介護に関する専門的な知識や技術を習得していることが求められます。
身体介護は、利用者の尊厳を守りながら、安全かつ適切に行うことが求められる高度な業務です。入浴介助一つをとっても、体の洗い方や湯温の調節、転倒防止など、注意すべき点が数多くあります。誤った方法で行うと利用者に怪我をさせてしまうだけでなく、恐怖心や羞恥心も与えてしまう可能性もあるため、専門的な知識に基づいた丁寧な対応が必須となります。また、身体介護は、体力的な負担も大きい業務です。高齢者の場合、筋力の低下や関節の硬さなどから、介助に予想以上の力が必要となることもあります。無理な姿勢で介助を続けていると、腰痛などの身体的な負担がかかり、介護者自身の健康を損なってしまう可能性もあるため、ボディメカニクスを用いた適切な介助方法を身につけることが重要です。
介護業界は無資格で働ける仕事もありますが、身体介護に関しては資格を保有していることが必須条件です。これは、利用者の安全を守り、質の高い介護サービスを提供するためには、一定以上の知識や技術を持った人材を育成することが不可欠であるという考え方に基づいています。